
四月も終わりに近づくころ、茶の湯では炉から風炉へと移る時期を迎えます。畳に切られた炉を閉じ、五月からは風炉を据えて点前を行う。この道具の切り替えは、季節の移り変わりと深く結びついています。
炉は冬のあいだ、室内を温める役割も担いながら用いられてきました。これに対して風炉は、畳の上に据えられる独立した炉で、見た目にも軽やかで、これからの季節にふさわしい開放感をもたらします。
実際の切り替えは五月一日が区切りとされますが、その準備は四月のうちから始まります。炉をふさぐための作業や、風炉の道具を整えることなど、季節の入れ替えが進んでいきます。四畳半の茶室では、この切り替えにあわせて畳の敷き方も変わり、点前座の位置や所作にも違いが生まれます。炉の点前に慣れてきたころに風炉へと移るため、あらためて手順を確かめながら稽古を重ねていくことになりますが、こうした切り替えは、気持ちを新たにする機会ともなります。
「炉から風炉へ」という移り変わりは、季節に応じて場を整えるという茶の湯の基本をよく表しています。
撮影: 大道雪代
参考文献
『淡交新書 茶の湯の銘 季節のことば』淡交社
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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