
日本の四季を司る四柱の女神のうち、春の訪れを告げるのが「佐保姫」です。
現在の奈良市・平城京から見て、太陽が昇り、春がやってくる方角である東に位置する佐保山。
その柔らかな山容を神格化した存在として、佐保姫は多くの和歌や文学の中に描かれてきました。
陰陽五行説において、東という方角は「春」の象徴でもあります。
春の陽光に包まれた佐保山には、白く淡い霞がたなびきます。
その幻想的な光景は、いつしか「佐保姫がまとう繊細な衣」に例えられるようになりました。
風にそよぎ、山を覆う霞の透明感は、まるで絹を織りなした衣のよう。
佐保姫の 霞の衣 裁ち断ちて 柳の糸に 縫ひや合はせむ
(古今和歌集)

本日の和菓子は青洋さんの「佐保姫」です。
伝統的なこなしで包まれているのは、モダンな味わいのキャラメルあん。
白あんとキャラメルの調和は、春らしい優しい甘さを生み出します。
そして、その姿は、佐保姫がまとう衣を思い起こさせます。
少しくすんだ淡いピンクのグラデーションは、佐保姫が通り過ぎた後、眠っていた山々が静かに春色へと染め上げられていくかのよう。
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菓銘:佐保姫
ご製:和菓子店 青洋
住所:京都市北区紫竹西野山町54-1
器:敷板
作:ハタノワタルさん
撮影・文:日々に和菓子
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