客として炉の灰を取るときには、いつでも、炉の四隅にかき上げられた灰を崩さないようにしなさい、という教えです。
ちょっと解説
この一首は、客が炉の灰を扱う際の注意を教えています。
例えば、茶会などの趣向で、七事式の一つである「廻り炭」を行う際には、札の取り方によって、客が亭主の役目をすることがあります。亭主役は炉中の炭を巴半田にあげたあと、長火箸で炉中の中ほどに集めた残り火を、灰をすくう道具「底取(そこ とり)」で灰とともにすくい、巴半田にあげます。歌の「底取る」とは、この道具で炉の底の灰を取ることを指します。その際には、炉の四隅の灰を崩さないように気をつけます。
炉の灰は、平らに入れてあるのではなく、四隅をかき上げてあります。これは、炉中に美しい景色をつくるだけでなく、空気の流れをよくして、火がおこりやすくなるように考えられた形です。
この一首は、整えられた灰の形にも意味があることを理解し、その働きを損なわないように扱うことの大切さを教えています。
利休百首に収められた和歌は、稽古の場や茶会の一瞬、そして日々の暮らしの中で、ふと立ち返るための言葉として詠まれてきました。一日一首、静かに言葉を味わいながら、自身の茶の湯の心と重ねてみてください。