無病息災を願う「重陽(ちょうよう)の節句」を迎える直前、久しぶりに風邪を引いてしまいました。楽しみにしていたお茶のお稽古もお休み。お点前の復習をする気力もなかったので、頭の中で次の課題の準備(妄想)を進めることにしました。
次の課題とは、11月23日に東京の大橋茶寮(おおはしさりょう)にて開催される「武陽茶会(ぶようちゃかい)*」。この茶会で、薄茶席の席主をつとめさせていただくことになりました。
茶道の研究家で数寄者である筒井紘一先生が企画する「武陽茶会」は、文化財の修復を目的に立ち上げられ、初回は国の登録有形文化財にも指定されている大橋茶寮の修復と保護のために開催されます。
*2026年11月23日開催「武陽茶会」の詳細はこちら
大橋茶寮は裏千家十四代家元・淡々斎が東京での正式な稽古場・道場として社中(弟子)に稽古をつけられた場所です。以降、ここから多くの方々が茶の湯の世界へと導かれた、由緒ある建築です。
そんな歴史ある茶室で、この私が薄茶席を担当することになるなんて! 来年3月*の茶事もそうですが、先生方からのご提案で、私の茶の湯ワールドが横、斜め、縦へと、見る見る広がって行きます。
*2027年3月、本連載の集大成となる茶事を開催予定
筒井先生はNHKの番組「知恵泉」でご一緒させていただいたのがご縁で、その後も私の茶道ライフをスタート地点から応援してくださっています。
淡交社から出版した私の著書『はな、茶の湯に出会う』にもご登場いただきましたが、筒井先生は歩く茶の湯辞典の如く、どんな質問にもお答えくださる、すごいお方なのです。筒井先生が以前、おっしゃっていた「知識は礼儀」という言葉も、怠け者の私に刺激を与えてくれる、大切なフレーズ。お茶の世界に限らず、人と接するなかで、この言葉の意味を実感する場面がとても多いのです。
とはいえ、筒井先生が脳に蓄えている膨大な情報量は私のスカスカな脳内データとは比べものになりません。その知識をひけらかすのではなく、礼儀に変えてしまう筒井先生のハートは優しさで溢れかえっているのでしょう。
そんな筒井先生から薄茶席のお話をいただいた時は「ん?先生の横でお点前をするのかな?」と、軽い気持ちでオッケーしてしまいましたが、まさかの席主だったとは(汗)。
でも、大好きな筒井先生からのお誘い。茶会で世界一チャーミングな筒井スマイルが見たい!ということで、お茶の先生方に全面的にサポートいただきながら薄茶席を楽しく、カラフルな空間に染めていきたいと思います。
妄想は膨らむばかりです。等身大の自分+1cmの背伸びを加えて、茶会までに知識を増やしていこうと思います。
みなさまもお時間があったらぜひ足をお運びくださいね。

『はな、茶の湯に出会う』(淡交社) 「茶会を開く」より
撮影:川本聖哉
