客の立場で炭をつぐときは、その都度薫物(お香)などをくべてはならない、という教えです。
ちょっと解説
この一首は、客として炭をつぐときの心得を教えています。
炭をつぐのは本来、亭主が行うことですが、場合によっては亭主から所望され、客が代わって炭をつぐこともあります。その際に注意したいのが、薫物(お香)の扱いです。
薫物には、炭特有のにおいを消すとともに、室内を清浄にする役割があります。しかし、香をたくことは本来、亭主が行うものです。そのため、客が炭をついだ場合には、自分の判断でお香を加えるのではなく、亭主に「お直しの上、お香を」と伝え、その後の判断を亭主に委ねます。
この一首は、たとえ亭主に代わって所作を行う場合でも、亭主と客それぞれの役割をわきまえ、その立場を越えないことの大切さを教えています。
利休百首に収められた和歌は、稽古の場や茶会の一瞬、そして日々の暮らしの中で、ふと立ち返るための言葉として詠まれてきました。一日一首、静かに言葉を味わいながら、自身の茶の湯の心と重ねてみてください。