炭をつぐときは、五徳にはさんではならない。十文字になるように置かず、縁を切らさず、全体の釣り合いを見ることが大切である、という教えです。
ちょっと解説
この一首は、炭をつぐ際の具体的な注意点を教えています。
一番大きな胴炭は、五徳の左右の爪の間に入れます。このとき、五徳の外にはみ出すような置き方をすると、ほかの炭が入らなくなり、全体の釣り合いも悪くなってしまいます。
また、胴炭に対して細長い管炭を置く際には、十文字になるような置き方を避けます。十文字に置くと、底にある下火との間に隙間ができ、火がつきにくくなるためです。「縁をきらすな」とは、下火と炭、炭と炭との間を離さず、火がつながるように置くことを意味しています。
茶の湯炭は寸法が定められていますが、自然物であるため、太さや大きさは一つ一つ微妙に異なります。そのため、決められた形にただ置くのではなく、実際の炭の状態を見ながら、火がよくおこるように全体の釣り合いを考えることが大切です。
この一首は、炭の大きさや下火の状態、炉・風炉の様子をよく見て、その状況に合った置き方を考えることの大切さを教えています。
利休百首に収められた和歌は、稽古の場や茶会の一瞬、そして日々の暮らしの中で、ふと立ち返るための言葉として詠まれてきました。一日一首、静かに言葉を味わいながら、自身の茶の湯の心と重ねてみてください。