百物語|夏の夜を彩る怪談文化

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蝋燭(ろうそく)の灯りが一つ、また一つと消えていく。最後の一本が消えた時、本当に何かが現れる……。そんな言い伝えとともに語り継がれてきたのが「百物語(ひゃくものがたり)」です。

百物語は、百本の蝋燭を灯し、参加者が順番に怪談や不思議な話を語り、一話終えるごとに一本ずつ火を消していく怪談会です。最後の一本が消えると怪異が起こるとも信じられ、夏の夜の緊張感を味わう遊びとして親しまれてきました。

その起源は明らかではありませんが、鎌倉時代から江戸時代にかけて、武家の肝試しとして行われていたといわれます。延宝五年(一六七七)に怪談集『諸国百物語』が刊行されると、百物語は武家だけでなく町人の間にも広まり、夏の娯楽として定着していきました。

百物語が夏の風物詩となった理由には諸説あります。暑い夜に怪談を語り、涼を感じようとしたとも、お盆の頃は祖先の霊を迎える時期であり、この世とあの世が近づくと考えられていたこととも関わるといわれています。怖さを楽しむだけでなく、目に見えないものへの畏れや敬意を映し出す、日本ならではの文化です。

現代では、本来の百物語を行う機会は少なくなりましたが、夏になると怪談番組や怪談イベント、お化け屋敷や肝試しなど、背筋がひんやりする催しが各地で親しまれています。形は変わっても、暑い夏に怪談を楽しむ風習は、今も日本の夏の風物詩として息づいています。

 

撮影:SAMURAI / PIXTA

参考文献

国立国会図書館「イメージバンク コラム 夏だ!肝試しだ!」

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