伝統の茶懐石を優雅な茶室で味わう
現代工芸作家の茶陶との出会いも
柿傳は江戸時代の元禄・享保年間、裕福な町人の間で隆盛をきわめた茶会の料理を担当する専門職として始まりました。以来290年にわたり京の伝統の味を崩すことなく、茶事における懐石料理の純粋性をまもり伝える仕出し専門の店として続いています。
その京都・柿傳の流れをくむ「新宿 京懐石 柿傳」は昭和44年(1969)、前年に新宿駅東口に落成したばかりの安与ビル内で開業しました。めざしたのは、本格的な茶懐石を味わい、流派を超えて茶の湯文化を学び実践する“茶事の道場”をつくること。当時の安与ビルオーナー・安田善一氏が、昵懇の間柄だったノーベル賞作家・川端康成氏から受けた「新宿に大人の道草の場所を」というアドバイスがきっかけでした。
ビルの6階、8階、9階の3フロアを占める店の内装は、東宮御所や迎賓館日本間、帝国劇場などを手がけた谷口吉郎氏によるもの。9階には京都表千家不審菴内残月亭の写しをはじめ3つの茶室があり、凜とした茶室建築の素晴らしさが堪能できます。点心、お楽しみランチ、昼・夜のコース料理まで本格的な茶懐石が楽しめるほか、茶会や茶の湯に関する各種講座など多彩なプログラムが人気の「茶の湯同好会」、茶事の中から懐石のところを中心に学べる「懐石マナー教室」も開催しています。
茶の湯同好会
https://www.kakiden.com/manner.html
懐石マナー教室
https://www.cha-no-yu.jp

9階に3つある茶室のひとつ、表千家不審菴残月亭(十二畳)の写し。この日の床の間には、店とゆかりの深い作家・川端康成氏の「面白」の軸が掛けられていました。

先々代の名前にちなんだ三畳半台目の「一与庵」。

畳席、テーブル席、立礼席など、さまざまな使い方ができる6階の「古今サロン」。

コース料理は、椅子席(8階)は昼4,840円〜、夜8,470円(税サ込)~、茶室(9階・個室)は18,975円(税サ込)~。

茶事では盛り付け方の違いなど各流派に細やかな対応をしてくれます。
茶事の料理は、11,000円(税サ込)〜。
ビルの地下2階には、建築家・橋本夕紀夫氏による瀟洒で和モダンな空間が広がる「柿傳ギャラリー」があります。昭和51年(1976)に別の場所で陶磁器を中心に展示・販売するギャラリーとして開業。平成20年(2008)に安与ビルで現代工芸のギャラリーとしてリニューアルオープンしました。扱うジャンルは、茶陶に軸足を置きながら、陶磁器をはじめ漆器、染織、金工、竹芸など多岐にわたり、月3回のペースで今活躍中の作家とその作品を紹介する企画展を開催しています。

地下2階の柿傳ギャラリーへ降りる階段の壁には、安田善一氏の献辞を彫った銘板が掲げられています。

柿傳ギャラリーは天井が高く、地下2階とは思えない開放感があります。

穏やかな照明のもとでゆっくり作品を鑑賞できます。


令和8年(2026)2月20日から25日まで「唐津焼八人展−本源に帰る−」が開催されました。これは唐津焼作家のグループ展で、9回目を数える今回は岡本作礼、川上清美、田中佐次郎、中里太亀、十四代 中里太郎右衛門、三藤るい、安永頼山、矢野直人といずれも人気のある作家が出展。個性的な作品が並びました。

会期中は、在廊されている出品作家と直接お話しできる楽しみも。写真は89歳になる今も唐津市の山瀨窯で創作を続ける茶陶界の名手、田中佐次郎さんとその作品。
柿傳ギャラリー店主の安田尚史さんは、茶の湯と現代工芸をもっと近づけたいと願っています。「新宿駅の隣という便利な場所ですから、どうぞお気軽にお寄りください。静かな空間で、今を生きる作家の作品との対話を楽しんでいただければ幸いです」
新宿 京懐石 柿傳
https://www.kakiden.com/
柿傳ギャラリー
https://www.kakiden.com/gallery/
柿傳ギャラリーInstagram
「柿傳」施工 / 水澤工務店
