
桜の花びらが水面に散り、流れに沿って帯のように連なる景色を「花筏(はないかだ)」といいます。川や堀に散った花びらが集まり、水の上に浮かぶ様子を筏に見立てた言葉です。
この春の景色は和歌にも詠まれてきました。『古今和歌集』には、
久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
という歌があります。穏やかな春の日にも桜の花が静まらず散っていく様子を詠んだ歌です。
花筏はまた、桜の花びらが水に流れる景色を表す文様として、茶碗や蒔絵、菓子などにも用いられます。
水面に流れる花びらの景色は、桜の盛りが過ぎたことを知らせます。花筏という言葉は、爛漫な春の景色を感じさせるだけでなく、散りゆく桜の景色を想像させる言葉と言えるかもしれません。
撮影: でじたるらぶ / PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
『古今和歌集』
『淡交新書 茶の湯の銘 季節のことば』淡交社
『茶道具に見る 日本の文様と意匠』淡交社
※参考文献のタイトルをクリックすると、【淡交社 本のオンラインショップ】に移動します。
※最新の価格・在庫状況はオンラインショップにてご確認ください。
