
いよいよ本格的な暑さがやってくる。風炉前に座るだけで汗が吹き出してきそうだ。そんな七月、先生は毎年、茶箱のお稽古をつけてくださる。
初めて茶箱を見た時のときめきは、今でも忘れられない。蓋を開けると、お点前に必要な道具がこぢんまりと、しかし過不足なくまとまっている。子どもの頃、雛飾りの道具を眺めた時の気持ちが蘇る。小さいのに引出しが出てくる簞笥(たんす)、鏡が開く鏡台(きょうだい)、お椀の蓋がちゃんと開く御膳揃の精巧さと可愛さに感激した、あの気持ちだ。
茶箱の中は、すべての道具が巧く収まるよう考え尽くされている……
