復原した江戸中期の能装束に見る西陣織のクオリティ。
機音響く工場の見学やじっくり取り組む手織り体験も好評です。
京都市内を南北に走る浄福寺通は、今出川通以北の一角に石畳が敷かれ、ふと誘い込まれるような景観が広がっています。その通り沿いに立つ織成舘は、明治40年に創業した帯地製造業の老舗「渡文」が母体となり設立した公益財団法人手織技術振興財団が運営するミュージアム。初代の店舗兼住まいだった西陣織屋建をいかして、「復原能装束」「時代衣裳」「全国の手織物」を展示しています。
引き戸を滑らせ中へ入ると、きらびやかな能装束が目に飛び込んできます。片山九郎右衛門家(能楽観世流シテ方)が所有する江戸中期の装束を復原したものです。能装束は周知の通り、西陣織の芸術性と高度な技術をもって受け継がれてきた装束で、唐織、厚板、長絹を鑑賞できます。まるで刺繍のような凹凸が独特の陰影をもたらす唐織など、いずれも息をのむような輝きを放っています。
2階では江戸後期から昭和初期にかけての着物や帯などのコレクションが楽しめ、テーマに沿った全国の手織物を紹介するコーナーも設けています。また隣接する製織工場の見学も可能で、その一角で行う手織り体験は、時間をかけてじっくり取り組めると好評です。
米国人建築家マイケル・アンダーソンが設計した新舘「須佐命舎」は、廃校になった小学校の建材を使用し、和の趣の中にどこかアーリーアメリカンの雰囲気を漂わせています。ここでは年に2度特別展が催され、不定期でコンサートも開催。豊かなひと時を過ごせます。
織成舘の展示

江戸中期の能装束を1年以上かけて復原。絢爛豪華の一言では表現しきれないほど見事な技術に西陣織の素晴らしさを実感します。

2階の一室では全国の手織物を展示。内容は時期によって異なります。
製織工場の見学・手織り体験


職人の手で帯が織り上げられていく様子を見ながら西陣織の行程などを丁寧に紹介。工場内は一角に先染めした糸が置かれるなど雑然としていますが、終始機音が響き、現場ならではの臨場感が味わえます。

予約制の手織り体験は約3時間かけてじっくり織りあげます。
ミュージアムグッズ


ミュージアムグッズも充実。ネクタイはスタンダードな柄からラグビーボール柄までさまざまなデザインが揃っています。写真下は渡文オリジナルのタオル。蚕が最初に吐くたんぱく質豊富なキビソでつくられ、天然素材ならではの肌に優しいタオルとして注目を集めています。
渡邉昌子さん

3代目に嫁いできた渡邉昌子さんは「最近では本当に幅広い層がおみえになって、みなさんここでゆっくり時間を過ごされています」と話します。
