四月になると、山や海の食材も春の盛りを迎えます。筍、菜の花、鯛、あさり――。こうした旬の食材は、日本の食卓だけでなく、茶席の料理にもよく用いられてきました。
茶の湯の料理では、豪華さよりも季節感が大切にされます。旬の食材は、その季節の自然の気配をそのまま席に運んでくれる存在でもあります。ここでは、四月頃に旬を迎える代表的な食材をいくつか紹介します。
筍(たけのこ)
春を代表する山の食材です。竹の地下茎から出る若い芽で、四月頃に旬を迎えます。
日本では古くから食べられており、平安時代の文献にもその名が見られます。現在でも京都の乙訓地域の筍は特に知られており、京料理でも春の食材として重要な位置を占めています。
茶席の料理でも筍は春を象徴する食材の一つです。若竹煮や木の芽和えなどに用いられ、山椒の若葉である木の芽を添えることで、春の香りを感じさせる一品になります。

撮影:mao/PIXTA
菜の花
菜の花は春の野を思わせる青菜です。やわらかな苦味が特徴で、古くから食用にされてきました。
江戸時代には青菜の一つとして広く食べられるようになり、現在でも春の料理の代表的な食材として知られています。おひたしや和え物など、さっぱりとした料理に使われることが多い食材です。

撮影:mike_neko / PIXTA
木の芽
木の芽は山椒の若葉で、春の香りを象徴する食材です。芽吹いたばかりの若葉を用い、料理の上に添えたり、和え物に使われたりします。
山椒は古くから日本の香辛料として使われてきた植物で、若葉・実・皮などさまざまな部分が食用になります。木の芽はその中でも特に春を感じさせる香りを持つものとして親しまれています。

撮影:ゆうゆ/PIXTA
鯛
鯛は古くから祝いの魚として知られています。「めでたい」という言葉に通じることから、祝儀の席や行事の料理に用いられてきました。
瀬戸内海沿岸では古くから鯛漁が盛んで、日本料理を代表する魚の一つとされています。春は産卵期にあたり、体色が桜色になることから桜鯛とも呼ばれます。

撮影:プロモリンク/PIXTA
あさり
あさりは春から初夏にかけて旬を迎える貝です。日本各地の干潟でとれる身近な貝で、古くから食用にされてきました。
江戸時代には江戸湾でも多くとれ、庶民の食材として広く親しまれていました。現在でも吸物や酒蒸しなど、春の料理によく使われています。

撮影:karin / PIXTA
参考文献
『日本を味わう 366日の旬のもの図鑑』(淡交社)
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